LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
見覚えのない風景

島に上陸した日、港からピックアップ・トラックに揺られながらバンガローまでたどり着いた。

その逆を徒歩で進む。

 

真昼のジャングルは適度な木陰を作り快適そのもの。

とはいっても、ルートのすべてがジャングルではなく、アップダウンの連続する緑なき乾燥した不毛の地もある。

そこでは太陽が容赦なく照りつけるが、荷物もないので軽快に進むことができ、まったく苦ではない。

 

「港まで、こんなに遠かったかな」後ろからナタリーが言った。

「わざと寄り道してたんじゃないの?」シンさんは遠まわりになっていることを早くから気づいていたようだ。

 

先頭を歩いていたのは俺とジュリーとケイトの3人。

なんとなくジュリーとケイトに誘導されるように、俺は歩いていただけだ。

言われてみれば確かに、こんな風景のところを通ってきた覚えはなかった。

 

続く

次回の話/華やかなビーチリゾート

前回の話/上機嫌なナタリー

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最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。