珈琲をもう一杯 / 第二十三話「スモーキー」
「このスモーキーな感じがいいですね」
「スモーキーな味わいで・・・美味しい」
深煎りの珈琲を褒めてくださってると思うのですが。
実は僕、このスモーキーという言葉が苦手です。
深煎り珈琲の苦味や風味のイメージが煙臭を連想するのでしょうか。
中には本当に煙に燻されたようなコーヒーもありますが。
深く煎るにつれ煙はモクモクと、それはそれはすごい量の煙が出ます。
煎ってる時や煎り終えた後の煙の処理を上手くやらないと豆に煙がまとわりつきます。
そこで、如何に煙臭さをつけないか、その為に色々と工夫したり、試行錯誤しているんです。
豆が煙に燻されたり煎り終えた後の煙の処理が悪いと、刺々しい苦味や、舌や喉に突き刺すような刺激、それに後味が悪いんです。
なのでスモーキーと言われると、これらを連想しちゃうんですね。
では、なんて言われれば嬉しいかなぁ?
その1.
「このコーヒー、ファンキーな味わいですね」
「このファンキーさがいいですね」
おっ、ファンキーかい!
いいね~。 でも、ファンキーにはカッコイイという意味と・・
臭いって意味がありますからねぇ。
その2.
「ブルージーなコーヒーですね!」
おっ、ブルースに合いそうで良いですね。 なんか、いいなぁ。
その3.
「このコーヒー、ホットでクールですね!」
って、これでどうだっ。 おまけに、so をつけて
「このコーヒー、ちょぉ~ホットでクールですね!」
でも、何を隠そう、僕の一番好きなのは、小さな声で
「お、美味しい・・・」
そう、聞こえるかどうかの小声で言われる事ですね。
その時にはきっと口角を上げてにやけてますから。
えっ、勝手にしろ!って?
そんなに煙たがらないでよ~。