LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
なんの経験もない医大生

ナタリーは俺になんの期待もせずに言った。

「アンコンシャス!」

 

ナタリーの気持ちもよくわかる。

頼りない俺。

英会話のできない俺。

そんな俺に<こんな高等な単語は知らないだろう>と言わんばかりの目を向けた。

 

だが俺は、腐っても医大生だ。

アンコンシャス=意識不明。

専門的な単語こそ得意だ。

 

しかし腐ってないが医大生。

 

この緊迫した状況で、意識不明の患者にどう対応していいかわからない。

街でドクターを探すのが先決だと俺は息の上がった体に鞭を打ち、さらに足を早めた。

 

続く

次回の話/野上真一が死ぬ

前回の話/泣きたいのは俺の方

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最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。