LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
退屈という文字

行く先もわけも分からず、ただナタリーについていったら到着したクラビー。

ここに何があるのかもわからない。

 

今夜泊まっているゲストハウスの窓からはネオンが縦横無尽に流れる水路を形成し、タクシーのヘッドライトがビュンビュンと流れる。

俺たち3人しか泊まっていないエアコンの効きすぎたドミトリーは寒いほどだ。

夜に弱いシンさんは、すでにいびきをかいて寝ている。

 

外の風景を眺めるナタリー。

昨夜までの星空に比べ、うんざりするほどつまらない人工的な眺望。

横顔は夜景にうっとりしているようもに見えるが、正面からは退屈という文字が浮かんでいる。

 

俺はナタリーに、<離れどきかもな>と声なき声をかけ続ける。

それは街への決別なのか、人へなのか。

 

続く

前回の話/2人から離れるタイミング

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。