キング アーサーのここだけの話
心神喪失のナタリー
心ここにあらず。
こんなときに使う言葉ではないが、本当にナタリーは心を失っていた。
身と心が離れている心身消失の状態だ。
ただバンガローへ戻るという意識だけはどこかで働いているようで、話しかけても何も答えようとしないナタリーの歩みは止まることなく、波打際を進んでいた。
精神が崩壊しているナタリーを気遣いながら、俺は先を急いだ。
数歩行くと振り返り、ナタリーがついてきているかを確認する。
意識不明で倒れているシンさんの元へ一刻も早く戻りたいのだが、ここにも目の離せない病を抱えた人がいる。
しかもその人は女性で、若く、か弱く、そして気高く、美しい。
通常ならば・・・だが、いまは違う。
続く
次回の話/暗闇迫りくるジャングル
前回の話/一刻も早くバンガローへ
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