キング アーサーのここだけの話
チョコレートちゃうよ
意識不明だったシンさんが、島に古くから伝わる丸薬によって元気が戻った。
「どうせ、カピカピに乾いた正露丸だとばかり思ってたけど、チョコレートだったとはね」俺は元気そうに歩くシンさんの肩を叩いた。
「ちゃうよ。チョコレートちゃうよ。チョコやって」
俺はしばし絶句した。
シンさんは意識不明で、本当に頭がイカれてしまったのだろうか。
いや、そんなはずはない。
「チョコとチョコレートのどこに違いがあるんだよ」俺はようやく言葉を紡ぎ出した。
「ぜんぜんちゃうやん。チョコとチョコレートやで。性質が真逆やん」
「シンさん、気は確かか?」尋ねずにはいられなかった。
「あっ、性質は一緒って言うてもええかな。生い立ちはまったくちゃうけど、どっちも気を落ち着かせてくれるもんやしな」といって、シンさんは笑った。
続く
次回の話/チョコレートじゃ治んない
前回の話/医師を目指すという進路を絶つ
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