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キング アーサーのここだけの話
俺が、俺になった島
ボートは乗客をたくさん乗せているためか、すぐにはスピードが上がらず、桟橋を思いのほかゆっくり離れる。
甲板を思い切り蹴り上げれば、いまならまだ島に着地できる。
いまならまだ。
いまならまだ。
その言葉がしばらく俺の頭の中をとぐるぐるまわっていた。
しかし行動に移さないまま、やがて島は小さくなっていった。
さようなら、俺が、俺になった島。
「また帰ってくるからさ」
離れて行く島に、そう告げた。
続く
前回の話/プールのように澄んだ海
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