キング アーサーのここだけの話
明るいうちにビーチへ
スラーターニーで1泊しようという俺の提案を無視して、ナタリーはバスステーションへと歩き出した。
「ビーチに行くんじゃなかったのかよ」俺はナタリーに問いただした。
「だから、バスでビーチに向かうのよ」ナタリーはウインクして先頭を歩く。
シンさんは何も言わず、俺に肩をあげてみせた。
ナタリーに従うしかない。
そんなサインだろう。
「クラビー行き」といって、バスチケット売り場でナタリーは3人の座席を確保した。
「クラビーって、どのくらいかかんの?」俺はまたナタリーに問う。
「すぐよ。明るいうちにビーチへ行けるわ」とだけナタリーは答えた。
笑っているシンさんは、少なくとも地理的事情を把握しているらしい。
続く
前回の話/コンクリートに囲まれた波止場
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