LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
考えの読めない発言

誰かを道連れにしないと、離れられない俺がいることに気づく。

俺が2人から離れ、2人がそのまま旅を続けるなら、それは嫌だ。

できることなら俺がシンさんから離れ、ナタリーもシンさんから離れ、3人がバラバラになってくれればいい。

 

でも俺の都合のいいように、ことは進まないだろう。

考えても解決できないことをモヤモヤ思い浮かべていたので、寝たような眠れなかったような、すっきりしない朝を迎えた。

 

「今日、とりあえずバンコクへ向かうよ」そう切り出したのはシンさんだった。

シンさんが俺たちから離れようとしているのか。

ゲストハウスの安いパイプベッドに横たわりながら言ったので、シンさんの表情は見えない。

 

突然の言葉に反応するよう、俺の上半身は飛び起きた。

考えの読めない発言に思考を失い、ナタリーの方を向いた。

彼女も言葉を失ったまま俺を見た。

 

続く

前回の話/退屈という文字

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。