キング アーサーのここだけの話
考えの読めない発言
誰かを道連れにしないと、離れられない俺がいることに気づく。
俺が2人から離れ、2人がそのまま旅を続けるなら、それは嫌だ。
できることなら俺がシンさんから離れ、ナタリーもシンさんから離れ、3人がバラバラになってくれればいい。
でも俺の都合のいいように、ことは進まないだろう。
考えても解決できないことをモヤモヤ思い浮かべていたので、寝たような眠れなかったような、すっきりしない朝を迎えた。
「今日、とりあえずバンコクへ向かうよ」そう切り出したのはシンさんだった。
シンさんが俺たちから離れようとしているのか。
ゲストハウスの安いパイプベッドに横たわりながら言ったので、シンさんの表情は見えない。
突然の言葉に反応するよう、俺の上半身は飛び起きた。
考えの読めない発言に思考を失い、ナタリーの方を向いた。
彼女も言葉を失ったまま俺を見た。
続く
前回の話/退屈という文字
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