LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
あの列車に乗って行こう

インターネットが普及している現代ならば、鉄道の時刻表を簡単に検索できるだろう。

それが定時通り運行されているかは別問題として。

 

1990年代初頭の旅はインターネットなんてものは皆無。

たとえそれが繋がっていたとしても、まったく役に立たない混沌とした時代だった。

 

こと東南アジアに関しては。

 

先が読めないからこそ出向く必要があり、行く価値があった。

スラーターニーの駅に到着し、バンコク行きの発車時刻を調べる。

といってもJRの分厚い時刻表の本から探すようなものではない。

 

鉄道網と呼ばれるほど路線はない。

主要な駅であっても1日1本の列車しか通過しないのだから、紙切れ1枚の情報ですべての列車時刻を把握できる。

運よく俺たちの乗るべき列車はいまから10分後に到着し、15分後に出発する。

スラーターニー駅では5分の停車。

 

クラビーからの深夜バスは8時間以上も費やしたが、おかげで駅での滞在はそれほど長く待つことはなく、列車には余裕を持って乗れ、乗車も少なそうだがらなんの問題もなく席を確保できそうだ。

 

しかし俺は、現実をまったく理解していなかったようだった。

 

続く

前回の話/計画なんて役に立たない

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最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。