LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
ここが岐路でいまが決断のとき

タイから陸路で韓国まで行く。

そもそもシンガポールからインドネシアを経由してマレーシア、そしてタイへと入国したはずだ。

ここから先はカンボジアからベトナムを経由して中国、そして韓国へ。

朝鮮半島を南下して釜山からはフェリーで福岡へ。

もっとも安価で、時間を贅沢に使う旅ではないか。

 

俺は本当に、その旅に同行しなくていいのか?

俺には俺の行くべきプランがありながらも、心が揺らいでいた。

「すべての道はローマに続いてるんなら、バンクーバーへも続いてるのね」ナタリーが言った。

「ああ、そうだ」とシンさんは応えた。

「じゃあ、日本からはバンクーバーを目指して陸路で帰るわ」

「バンクーバーまで、一緒に行こう」

シンさんの意外な応えに、俺の心はさらに揺らいだ。

 

絶対に俺ひとりでは、そんなルートを辿らない。

ここが岐路でいまが決断のときじゃないのか?

俺は自分に問うた。

 

続く

前回の話/すべての道はローマに続いてる

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。