LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
たったそれだけのことで

携帯電話のない時代。

電話をかけても、相手は家にいない可能性もある。

連絡を取るのも大変だけど、それで特に不自由をしていた記憶はない。

携帯電話のある今の方が、気持ちを荒げることがある。

 

ただでさえ賑やかに感じるこの国の人の会話。

雑多に感じる風景。

何かのトラブルのせいでホームはさらにざわつき、人もモノも乱れている気がする。

 

俺にしてみれば言葉も通じないし、この国の文字も読めない。

それでも、心は穏やかだ。

車窓からホームを見渡していると、ひとりの女の子のところで目に止まった。

マグカップで何かを飲んでいる。

この国でマグカップを使用しているなど、本当に珍しい光景だ。

飲んでいる本人も、それを感じているのだろう。

たったそれだけのことで、幸せな気分になっているのだろう。

 

俺は自分の幸せを求め、進路を定めた。

「俺さあ、バンコクに着いたら・・・」

ナタリーがいないので、俺はシンさんに日本語で、本音を語りはじめた。

 

続く

前回の話/公衆電話にいるナタリー

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。