キング アーサーのここだけの話
人で混み合ったホーム
電話を終えたナタリーが、列車へと戻ってきているのが横目に見えていた。
俺がしたい話はちょっと複雑なので、それをとても英語で話せる自信がなかった。
だからナタリーが戻る前に、話し終えたかった。
しかもそれを英語で話せたとしても、ナタリーにはまったく伝わらない内容も含んでいた。
「バンコクに着いたら、俺はあのホテルへ向かうよ」
「ジュライか?」
シンさんは俺に目を向けず、人で混み合ったホームを眺めながら返した。
「違う。シンさんが賭けビリヤードをやっていたホテル」
「深刻に切り出すから、またジュライかと思った。そんでなんかの罪を着せられて捕まったら、助けに来て欲しいとか、そんな話かと思ったで」
続く
前回の話/たったそれだけのことで
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