キング アーサーのここだけの話
彼女は、彼女とちゃうで
シンさんが躊躇しているので、俺から言うことにした。
「あのアンジェリーナ・ジョリーに似た子を口説いて、旅に連れて行こうと思ってる」
「旅が好きじゃなかったらどうする?」俺が考えもしなかったことをシンさんが突いた。
そりゃそうだ。
仮に彼女が俺に興味を持ってくれたとしても、彼女が旅に興味を持ってなかったらどうするんだ。
「どうしよう・・・か」
「やっぱ、考えてへんかったな。ついでに言うとくと・・・」
「ついでに言うと、何?」
「彼女は、彼女とちゃうで」
言わんとしていることはわかる。
気を使わなそうなシンさんが、精一杯言葉に配慮している。
「それは、なんとなく気づいてた」
「アーサー、気づいてたか!」シンさんは安心した顔に戻って続けた。
続く
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