LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
俺を好いてくれる可能性

だから彼女に会って直接聞かねば、というのが俺の今すべきこと。

バンコクのあのゲストハウスへ向かい、部屋が空いていれば泊まる。

そして彼女の出社を待ち、会って直接話す。

 

彼女が今後、俺を好いてくれる可能性があるか。

好いてくれるのは、ずっと先になったっていい。

とりあえずは友人としてでも、俺と一緒にいてくれるか。

友人として、一緒に旅に出てくれるか。

いい香りがしたら、面白そうな雰囲気が漂ってきたら、ただそれだけで方向を変えてくれるか。

 

俺のことを覚えているかもわからないあのアンジェリーナ・ジョリーに似た彼女に、不躾にもこれだけのことを一気に問い詰める。

たったひとつのアンサーも返ってこない気がする。

それでも俺は聞いてみたい。

 

俺は、シンさんにそう告げた。

 

続く

前回の話/彼女はきっと男として生まれた

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。