LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
どこまでも気を使う俺

重い空を見つめながら、ナタリーはついに重い口を開いた。

「大事なことは、自分の言葉で言いなさいよ」

数時間前に聞いたセリフだ。

 

こっちは天気の話をしているというのに、返ってきた言葉は前にも聞いた説教。

やっぱり外国人に、天気の話は通用しない。

そもそもまわりの人に気を使うという配慮がない。

自己主張が服を着て歩いていると表現されるが、まさにそれが目の前にいる。

 

それだからこそ、俺は気を使ってしまう。

「自分で言うよ。精一杯の自分の気持ちを相手に伝える。だからそのときナタリーも一緒にいて欲しい」

「なんで私も一緒に?」

「ナタリーだけじゃなく、シンさんも一緒に」

ほら、こんな気の使い方、外国人には理解できないだろ。

 

前回の話/天気の話をする日本人

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。