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ヒツジ飼いの冒険
第13話 1歩

リンダもヒツジを連れて旅することを望んだ。

ハーマン・メルヴィルは船旅にヒツジを積んでいた。

「積荷じゃ暖は取れんが、家畜たちはカラダも心も温めてくれる。人間は人間だけでは生きていけない。陸に上がってからも、人は自然そのものでなくてはならんのじゃ」

航海中、船長の何気ない言葉にもレオナルドは影響を受け、少しずつだが真理に近づいている気になっていた。

 

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「ハーマン船長から教わることは、まだまだ多そうですね」

「おまえの望むところ、ワシはいつでも現れる」そう言うと、人差し指を鼻筋にあてがい、目を瞑った。

 

わずか3週間ほどの船旅だが、あまりに長い時間を船長とともにしたので感慨深かったのだろうか。

レオナルドはこのまま船に残り、次の陸地を目指すことも一瞬考えた。

 

ピアネータ号での航海を終えてから、本当の旅がはじまる。

冒険の旅だ。

レオナルドは気持ちを奮い立て、ぬるま湯に浸かっているような生活から上がる決意をした。

 

船が着岸したらまずは市場へ行き、そこでヒツジを買おうと考えていたが、レオナルドは船長からの思わぬプレゼントによって市場へ行く必要がなくなった。

船を降りたら、すぐにでも冒険がはじまる。

1歩踏み出すことが大事なんだ。

その1歩踏み出すこと、いまだけでなく、過去にもあった。

もちろん未来にも。

永遠と繰り返しやってくる。

 

ヒツジの群れを率いて大陸に踏み出したレオナルドは、また次の大陸へ渡るときも船長のもとを訪ねようと心に誓った。

 

ヒツジ飼いの冒険(第14話)へ続く

ヒツジ飼いの冒険(第1話)から読む

 

*ヒツジ飼いの冒険は毎週日曜日12:00公開を予定しています。

 

 

カヌーイストなんて呼ばれたことも、シーカヤッカーと呼ばれたこともあった。 伝説のアウトドア雑誌「OUTDOOR EQUIPMENT」の編集長だったこともあった。いくつもの雑誌編集長を経て、ライフスタイルマガジン「HUNT」を編集長として創刊したが、いまやすべて休刊中。 なのでしかたなくペテン師となり、人をそそのかす文章を売りながら旅を続けている。