旅の生活「マルタ島」
僕もピアノが弾けたなら。
旅が暮らしで 暮らしが旅 これは 誰のためでもない 自分のための生活の記録である
2019年7月7日
ヨーロッパをまわっていると、
空港や鉄道のターミナル駅に、
ピアノが置かれていることがよくある。
国内線空港かのように小さな、
マルタ国際空港の搭乗ロビーにも置かれていた。
10代後半ぐらいのブロンドヘアーの少女が、
そのピアノを弾き始めた。
僕はイヤフォンを外した。
待合席の目の前に設置されているこのピアノを演奏する勇気がある人は、
プロ並みの腕前か、
練習中とわりきっている人かのどちらかだろう。
彼女は後者のほうだった。
うつむいてスマートフォンを操作しながらフライトを待つ乗客達も、いつしか顔をあげ、
一生懸命にピアノを弾く彼女を優しく見守っていた。
数曲を弾いたあとに、
彼女は「Imagine」を弾き始めた。
途中で間違えながらも最後まで弾き終えた彼女に、
自然と拍手がわきおこった。
音楽がみんなを一つにした。
肌の色も国籍も性別も年齢も関係なく、
そこには紛れもない愛と平和の時間が流れていた。