LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
マナー違反の適用外か?

朝陽が昇りはじめ、それまでぼんやりとしていたナタリーの輪郭がくっきりと浮かび上がる。

闇のベールに包まれたナタリーは妖艶であったが、光を浴びた彼女はことさら美しさを増すようだ。

 

さて、シンさんが海から戻ってくることを素直に喜ぶべきか。

それともナタリーとの甘い時間を奪われて憎むべきか。

 

ただこれ以上ナタリーと2人きりでいても、口説き方を知らない、知ってても英語で表現できないのだから進展がないことは確かだ。

しかし、英語での口説き方をシンさんに教えてもらうというのか?

それじゃあ、ナタリーを口説くのに使うってバレバレじゃないか。

 

まあ、付き合うようになったら、すぐにでもバレるんだから、シンさんに聞くのはヨシとしよう。

でもここにはナタリーもいるというのに、ナタリーの前で教えてもらうのか?

それこそ告白前からナタリーにバレバレじゃないか。

そんなロマンチックじゃない告白って、ナシだろ。

 

ナタリーにばれないようにするには、日本語でシンさんに聞くしかない。

そもそもナタリーがいる場なのに日本語を使ったら、シンさんもナタリーもマナー違反だと怒り出すに違いない。

 

でもこんなナイーブな内容なんだから、ここはマナー違反の適用外だろ。

いや、ナイーブと感じてるのは俺だけなんだから、やはりマナー違反なのだろうか。

 

続く

次回の話/それはクジラなのかサメなのか

前回の話/英語でなんて言う?

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最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。