キング アーサーのここだけの話
可愛くないアンサー
夜を待たずして、ナタリーとシンさんも母屋のレストランにやってきた。
ほぼ2人同時に。
でもなにも焦る必要はない。
ヤシの葉でスケスケのバンガローだから、2人が別々の場所からやってきたことはわかっていた。
それでも生活のリズムが合致しているようで、気分は不愉快そのものだった。
シンさんは起きがけにコークをゆっくりと飲んだ。
本当にゆっくりと。
そして飲み終える頃には、完全に日が落ちていた。
「一緒に行くか?」
シンさんは誰に言うでもなく言った。
それは俺にともいえるし、ナタリーにともいえる。
「どこに?」俺は疑問形で応え、ナタリーは「ホワイ・ノット」肯定的に応じた。
仮に俺が女だとしたら、どれだけ可愛くないアンサーなんだ。
楽しいことが起こりそうな予感がたっぷりとあるこの雰囲気で、「どこに?」なんて普通に聞くか?
両極端な応えを同時に並べられ、俺は自分の言動を恥じた。
続く
次回の話/人里離れた場所
前回の話/今夜からしばらく寝ない
「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!