LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
可愛くないアンサー

夜を待たずして、ナタリーとシンさんも母屋のレストランにやってきた。

ほぼ2人同時に。

でもなにも焦る必要はない。

 

ヤシの葉でスケスケのバンガローだから、2人が別々の場所からやってきたことはわかっていた。

それでも生活のリズムが合致しているようで、気分は不愉快そのものだった。

シンさんは起きがけにコークをゆっくりと飲んだ。

本当にゆっくりと。

 

そして飲み終える頃には、完全に日が落ちていた。

 

「一緒に行くか?」

シンさんは誰に言うでもなく言った。

 

それは俺にともいえるし、ナタリーにともいえる。

「どこに?」俺は疑問形で応え、ナタリーは「ホワイ・ノット」肯定的に応じた。

 

仮に俺が女だとしたら、どれだけ可愛くないアンサーなんだ。

楽しいことが起こりそうな予感がたっぷりとあるこの雰囲気で、「どこに?」なんて普通に聞くか?

 

両極端な応えを同時に並べられ、俺は自分の言動を恥じた。

 

続く

次回の話/人里離れた場所

前回の話/今夜からしばらく寝ない

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最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。