キング アーサーのここだけの話
月明かりが照らすビーチ
真夜中、トイレに起きた。
小さな寝息を立てるジュリーとケイトを起こさぬよう、俺は静かにバンガローを出た。
トイレとシャワーはレセプションとなる母屋との中間にひとつだけしかない。
満月から1日分欠けた月明かりが照らすビーチに目をやると、ナタリーはまだ波打ち際にいた。
モモまで水に浸かり、静かな波と戯れていた。
俺にはまったく気づいていないようだ。
用を済ませ、バンガローへ戻るとき、どれほどナタリーに声を掛けようか迷った。
でも気の利いたセリフも見つからず、俺は見ないふりをしてバンガローへ入っていった。
トイレに起きる前、ジュリーとケイトのあいだに寝いていた俺は、またそのポジションへと戻った。
ナタリーの様子から、シンさんはまだ海から帰ってきていないことが窺える。
俺は、シンさんに対する心配はなかったが、ナタリーが心配でなかなか寝付けず、横になりながらも何度も姿勢を変えた。
「安眠を妨害された!」
翌朝、ジュリーとケイトからの厳しい説教が待っていた。
続く
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