LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
魅力的な時間

どれだけの蚊に襲われたことだろうか。

アルコールに溺れたまま、夕暮れのジャングルをうろつくもんじゃない。

 

酔っ払って体温が高くなっているせいで蚊が集まってくるとも聞くし、蚊は二酸化炭素に寄ってくるとも聞く。

アルコールをたっぷりと帯びた呼気に蚊が誘われるとも聞いたことがあるので、酔っ払った5人が揃って歩いていたら、蚊にとってたまらなく魅力的な時間だったに違いない。

 

蚊を追い払いながら歩く様は、まるで踊っているようにも見えただろう。

ひと気のないジャングルの中だから成立する行為であって、街なかで踊りながら歩いていたら気が触れた集団と思われただろう。

 

やっとのことでジャングルを抜け出て、自分たちの簡素なバンガロー村へ戻ってきても、いまだ耳元では蚊の羽音が聞こえる。

正確には、耳鳴りとして残っているだけだが、それがどうやっても離れない。

 

すっかり暗くなったバンガロー村だが、その暗闇で5人は耳鳴りと戦い、しばし踊り続けた。

ひと気のない静かなバンガロー村で、本当によかった。

 

続く

次回の話/自由って、なんだろう

前回の話/恐怖のなくなったジャングル

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最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。