キング アーサーのここだけの話
日本人の気質
んっ、んんんっ!
んっ、んんんっ!
部屋の外から何度か咳払いする音が聞こえた。
壁板の隙間から漏れる光で、また朝がやってきたことはわかっている。
このバンガローのドアに鍵なんてない。
開けようと思えば猫の手だって開けられるドアなのに、咳払いの主は入ってこようとしなかった。
ケイトか。
それともジュリーか。
もしくは気まずくて入ってこられない、そのふたりともなのか。
期待に胸が弾んだ。
すべて水に流してあげよう。
なかったことにしてあげよう。
それこそ日本人のもっとも得意とする気質だ。
続く
次回の話/ケイトとジュリー
前回の話/そんな自由は欲しくない
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