LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
日本人の気質

んっ、んんんっ!

んっ、んんんっ!

 

部屋の外から何度か咳払いする音が聞こえた。

壁板の隙間から漏れる光で、また朝がやってきたことはわかっている。

 

このバンガローのドアに鍵なんてない。

開けようと思えば猫の手だって開けられるドアなのに、咳払いの主は入ってこようとしなかった。

 

ケイトか。

それともジュリーか。

もしくは気まずくて入ってこられない、そのふたりともなのか。

期待に胸が弾んだ。

すべて水に流してあげよう。

なかったことにしてあげよう。

それこそ日本人のもっとも得意とする気質だ。

 

続く

次回の話/ケイトとジュリー

前回の話/そんな自由は欲しくない

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。