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若気ノイタリーの回顧録 アフリカ最大の動物保護区で自走サファリ旅 -1

本物の野生を見るために

ケープタウンでのシティライフを楽しんだ2ヶ月の語学留学を終え、いよいよ帰国が迫ってきた頃、僕はまたサファリに行きたくなっていた。以前の記事で書いた通りアクウィラ・サファリという10000ヘクタールのサファリに行ったのだが、少し心に引っかかるコトがあったのだ。

と言うのも、僕がSNSにサファリの写真を投稿をした時、とあるアウトドアの達人である知人から「これは野生かな?」とのコメントがあったのだ。前回の記事に書いた通り、日本のサファリパークのように餌付けしていないだろうし広大な土地に放たれているので野生だろうと思うのだが、そこについては何処にも明記されていないし、もしかしたら厳密には野生じゃないかもしれない。

その真偽はわからないが、僕としては胸を張って野生のサファリに行ったと言いたかった。

実際、僕はアクウィラ・サファリで100%満足していたのだが、知人のコメントが胸の奥に魚の小骨のように刺さっていた。

そしてそのうちに、やはり南アフリカに来たからには”本物の”野生を見ないと帰れないという気になったのだった。

 

Kruger National Parkへ行こう

そして僕が行くことに決めたのは、アフリカ最大、つまり世界最大級の動物自然保護区であるクルーガー国立公園。その総面積はなんと19,480㎢、日本の四国の総面積が18,800kmだという事を考えるとその壮大さがお分りいただけるだろう。

ここにはとんでもない数のワイルドアニマルが生息していて(147種の哺乳類、517種の鳥類が確認されているそう)、誰がなんと言おうと”本物”の野生、弱肉強食の世界が広がっている。

 

さて、サファリと聞くと、ガイドが運転するオープンエアーな四駆で荒野を駆け巡って、サファリシャツを着たお客が座席から双眼鏡を覗き込むというラグジュアリーなツアーを想像する人も多いと思う。現に僕もそうだと思っていた。

しかし、クルーガー国立公園の場合は、自分たちの車でオンロード・オフロードを走って見て回るというのがポピュラーな楽しみ方だという。自分勝手な性格なので、僕は好きな動物を見つけたら好きなだけ見ていたいし、誰にも文句言われずに行きたいところに移動したい。元々ついてくる友達もいなかったので一人で行くつもりだったが、こんな自由度の高いサファリなら最高に楽しめそうだ。

当初描いていた青写真としては、ルーフトップテント付きのディフェンダーを借りて、めちゃくちゃ写真映えなサファリキャンプをするというもの。しかし、そもそもディフェンダーを貸している業者の多くは最低でも5泊以上でないと貸さないうえ、台数に限りがあるのでハイシーズンは予約が取りにくくなる。何件かにコンタクトを取ってみたものの全敗、夢は儚く散った。

憧れのサファリ旅はこんな感じ。

ちなみにこの手のサファリ仕様の四駆は、キャンプ道具のオプションをつけても1日2万円程度から借りれるので意外とお安い。これからクルーガーに行く読者には、僕の無念を果たしていただきたい。

今になって思うと、Outdoorsy (クルマ版Airbnb的なサービス)などを使えば、安くてフレキシブルな条件でディフェンダーを借りれたかもしれないなぁ。

 

ロード・オブ・ザ・サファリ

クルーガーはピンの所。飛行機でケープタウンからヨハネスブルグまで飛び、そこからレンタカーで400kmひた走ってアクセスすることになった。

 

僕が滞在していた南アフリカの南西端のケープタウンから、南アフリカの北東端のクルーガーナショナルパークまでの直線距離は3000km強。

早朝の飛行機に乗ってヨハネスブルグに飛び、普通の空港のレンタカー屋でルノーの小型SUVをレンタル。そこから起伏の少ないハイウェイをドライブして、クルーガー国立公園の入場ゲートにたどり着いたのは14:30分ごろだった。

 

 

こちらは9つあるゲートのうちの南西端にあるマラレナ・ゲート。驚くことにこの広大な公園の境界は全て柵で囲われていて(多分川が境界になっているところも有り)、野生動物が人間の住むエリアに行けないようにしてある。なので我々人間もゲートを通ってしか公園内にアクセスできないのだ。

この茅葺き屋根の施設にレンジャーがいて、ここで入場料をお支払い。大人は1日400ランド(=2000円ちょっと)、2泊3日のつもりだったので、1200ランドを収めた。

とはいえ僕は行き当たりばったりな性格で、その日の宿泊先すら決めていなかった。実際行ってみないとどれくらい広いかわからないし、事前にネットで調べたところ宿泊施設もそこそこ空きがありそうだったから楽観視していた。

結局後から苦労することになるのだが、その時はサファリに興奮していて細かいことを考えたくなかったのだ……。

つづく

【次回】曇天の1日目。

問題:鈴木が最初に出くわした動物はなんでしょう?

アウトドアライフスタイルマガジン「HUNT」の創刊から編集者として携わりフリーランスに転身。現在はワーキングホリデーで海外に住みながらパートタイムで日銭を稼ぎ、英語を練習し、現地で見つけた面白いものを取材して雑誌やwebマガジンで紹介中。