キング アーサーのここだけの話
記憶にない昨日という1日
声では怒っていたが、ナタリーの顔には怒りのかけらもなく笑みが溢れている。
日に焼けた背中が、楽しい時間の経過を物語っているようだった。
俺は改めて英語で問いかけてみた。
「薬を飲みはじめたのは、一昨日ではなく昨日じゃない?」
シンさんとナタリーは顔を見合わせた。
「一昨日だ!」とシンさんは答え、「昨日の記憶がないの?」とナタリー続いた。
「記憶がないって、どういうこと?」
「それはこっちが聞きたいわよ。昨日はバンガローから1歩も出てこなかったじゃない」
続く
次回の話/恩着せがましく軟弱者の俺
前回の話/薬を飲みはじめたのは一昨日?
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