キング アーサーのここだけの話
自由に向かって、逆方向へ
この先、ふたりはどういう終わりにしようか取り決めがなかったのか、俺が聞いたばかりに、急に空気が張り詰めた。
寒い場所なら張り詰めた空気は気を引き締めるが、このただただ蒸し暑いだけのジャングル性気候では陰湿な気持ちにさせる。
俺が作った空気だけれど、俺は一番にその場から離れた。
満月から、新月まで。
たった2週間で、俺はこれまでの人生より多くを学び、新たなる道しるべも見えてきた。
とりあえずの俺の進路は定まっている。
東ではなく、西だ。
日本へ戻って、夏休みが明けたら大学に戻るのではない。
自由に向かって、逆方向へ進むんだ。
西へ向かえば、サハラが待っている。
シンさんの受け売りだが、サハラが呼んでる気がする。
受け売りだからこそ、ふたりには、特にシンさんには告げづらい。
続く
次回の話/無理にはしゃぐナタリー
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