LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
自由に向かって、逆方向へ

この先、ふたりはどういう終わりにしようか取り決めがなかったのか、俺が聞いたばかりに、急に空気が張り詰めた。

寒い場所なら張り詰めた空気は気を引き締めるが、このただただ蒸し暑いだけのジャングル性気候では陰湿な気持ちにさせる。

 

俺が作った空気だけれど、俺は一番にその場から離れた。

満月から、新月まで。

たった2週間で、俺はこれまでの人生より多くを学び、新たなる道しるべも見えてきた。

 

とりあえずの俺の進路は定まっている。

 

東ではなく、西だ。

日本へ戻って、夏休みが明けたら大学に戻るのではない。

自由に向かって、逆方向へ進むんだ。

 

西へ向かえば、サハラが待っている。

シンさんの受け売りだが、サハラが呼んでる気がする。

受け売りだからこそ、ふたりには、特にシンさんには告げづらい。

 

続く

次回の話/無理にはしゃぐナタリー

前回の話/月もなく、星空の美しい夜

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。