キング アーサーのここだけの話
自分とは違う発想
ビーチサイドのカフェテラスで昼からビールグラスを傾けるシンさんがいった。
「おもろい女の子やな」
「なんでそういう発想なのか、よくわかんないよ」
よく冷えたビールも確かに魅力的ではあったが、氷を使ったカクテルの方が優先順位が上だったので、俺はモヒートをオーダーした。
「おもろくないか?」
「シンさんの、おもろいという発想もわからないし、ナタリーの突飛な発想も理解できない」
「理解できたら、一緒にいる必要ないやん。自分とは違う発想するから、一緒にいて楽しいもんやろ?」
「普通は同じ感覚の人と一緒にいるもんだよ」
「その普通って感覚の方が、僕にはよく理解できへんなあ」
あの頃の俺には、とても理解できない考え方だった。
続く
前回の話/ナタリーの不意打ち
「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!