キング アーサーのここだけの話
シンさんとナタリーの元へ
列車の通路を1等から2等へと向かう。
1等車両と2等でどれほど違うのか、興味津々だった。
1等ですら古く、しかも清潔ではないのだから2等になったらどんなことになっているのだろうか。
ところが大きな差が見つけられなかったので、俺は2等車両に侵入したことが気づかずにシンさんとナタリーの元へたどり着いた。
「ここ2等?」俺はすぐに訊いたものだ。
「ああ、そうだ」とシンさんは応え、「どこ行ってたの?」とナタリーは訊いてきた。
「1等と2等の違いをチェックしてきた」ナタリーの質問とは趣旨が違うだろうが、俺はそう応えた。
「それで何が違ったの?」ナタリーは俺の流れに乗った。
「わからなかった」
俺の答えにシンさんは苦笑した。
「もう一度、しっかり見てきてよ!」ナタリーもおどけた。
俺は踵を返すと、ナタリーの笑い声は大きくなった。
続く
前回の話/慈悲の心なのだろうか
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