LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
余計なことを聞いた俺

流れる景色。

1秒ごとにバンコクは近づいている。

1秒ごとに別れのときも近づいている。

俺はバンコクでシンさんと行動を別にする。

 

いや、待てよ。

俺がシンさんについていかないだけであって、シンさんが俺についてきたら行動は別とはならない。

別にシンさんが俺についてくるわけでもなく、たまたま偶然にも同じ方向へ進んでいたなら、それもやはり別れとはならない。

 

「シンさん、バンコクに着いたらどうするの?」俺はたまらず聞いた。

「カンボジアのビザを取りに行く」

思いもよらぬ返事が待っていた。

ナタリーもはじめて聞いたようで驚きを隠せずにいる。

俺は余計なことを聞いたのか?

 

続く

前回の話/お金のある、なしじゃない

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。