キング アーサーのここだけの話
大きく揺れる客車
これは日本人特有のクセなのだろうか。
それとも俺だけか。
景色が間もなく終着駅となることをどことなく伝えていた。
しかし俺は列車が駅に到着する前から席を立ち、ゆっくり走っていても大きく揺れる客車で身支度をはじめた。
自分の荷物が整い改めてあたりを見渡す。
俺以外の誰も立ち上がっているものなどいない。
席のまわりは散らかったままだ。
というより、駅に近づいてから席のまわりが急に汚れた気さえする。
やがて列車は歩くより遅い速度となり、最後は鈍く乾いた音を立てて止まった。
半ドーム型の屋根に覆われているので、その音がやけに響く。
フアランポーン駅に到着したようだ。
「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!