キング アーサーのここだけの話
恐怖のなくなったジャングル
ビールが冷えているだけで、こんなにも美味しく感じるものなのか。
この世に、ビール以上に美味しいものがあるのだろうか。
そんなことを思いながら、俺はほろ酔い気分でジャングルを歩いた。
サーバーから注がれる冷えたビールと久々に出会っただけで、その感動は大きかったことを思い出していた。
まあ、久々と言っても、1週間にも満たないのは事実だ。
だが俺だけではなく、ケイトやジュリー、ナタリーやシンさんまでもが同じように「久々の冷えたビール」の感動を、いつまでも引きずっていた。
俺は特に、チケットの変更がうまくいったので、ビールもひたすら美味く感じた。
今にして思えば、このときが島滞在中、俺の幸せの絶頂だったに違いない。
3歩進んでは2歩下がるまったく進まない千鳥足。
オオトカゲという恐怖もいなくなったジャングルをゆっくりと進んでいった。
続く
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