キング アーサーのここだけの話
恩着せがましく軟弱者の俺
街で薬を手に入れ、シンさんに飲ませたのが一昨日だとすると、確かに俺は昨日バンガローから1歩も出ていないことになる。
だが俺には、その昨日という記憶がない。
「もしかして、昨日はずっと寝てた?」シンさんが俺に尋ねてきた。
「そう言われてみれば、寝てたのかもしれない。すっごく疲れてたから・・・」と応えたところで口を塞いだ。
間髪入れず、シンさんは言った。
「僕のために街を往復して、それで疲れたんだな。ありがとう」
こんなセリフを言わせたんじゃ、恩着せがましいじゃないか。
しかも、街までのわずかな距離を往復しただけ。
これまでに何回も歩いたことあるし、寝ずに看病していたナタリーも同じだけ歩いたのに、彼女は昨日も元気にしてたようだ。
それじゃ軟弱者みたいでもあるし、俺ってまるっきりダサイ。
続く
次回の話/ナタリーはなぜ元気なのだ?
前回の話/記憶にない昨日という1日
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