LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
先の読めない俺

いつもならシンさんと一緒にいる時間帯。

ナタリーがひとりビーチで佇んでいる。

思いつめるように爪を噛み、海に向かってひっそりと。

 

俺の存在に気づいたナタリーはいつものように取り繕い、元気に駆け寄ってきた。

「アーサー! いたのなら声をかけてくれればいいのに!」

 

とはいうものの、とてもじゃないがさっきの空気感では声をかけていいものなのか悩む。

「シンさんは?」

どう返していいものなのかわからないが、とりあえず聞いてみた。

聞いてみたが、それが大失敗だとすぐに後悔がはじまった。

 

そもそもいつも一緒にいるはずのシンさんがいなくて、あんなに思い詰めてるんだから、何か問題があったに違いない。

俺の思慮深くないところというか、先を読まないところがモロに露呈した。

 

「ちょっと歩かない」とナタリーは言うと、俺の返事を待たず歩き出した。

 

続く

前回の話/誰もいないテーブル

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

 

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。