キング アーサーのここだけの話
いつまでも一緒にいられない
俺たち3人はボートのデッキに無言で並んでいた。
だが誰が言い出したわけでもなく、また何らかの同意があったわけでもないが、ボートが島から離れていくと俺たち3人もそれぞれ距離をおくように散っていった。
正確には、俺を起点にシンさんとナタリーが別々の方向を歩き出した。
ボートが大陸に到着すれば、いつかは別々の方向へと歩き出すというのに、なぜ今。
でもボートが大陸に到着すれば2人はまた一緒に同じ方向へ歩き出すのだから、つかの間だけでもボート内という小さなエリアで散ったのかも。
俺はそう思うように努めた。
しかしシンさんとナタリーはこれからも一緒かもしれないが、俺はいつまでも2人と一緒にはいられない。
あの2人と同じように、いつかは俺から離れていく。
どんどんと小さくなっていく島を見つめながら、俺はジュリーとケイトを思い浮かべる。
うまく顔が思い出せず、もはや後ろ姿しか浮かんでこない。
続く
前回の話/俺が、俺になった島
「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!