キング アーサーのここだけの話
月もなく、星空の美しい夜
満月の前日にこの島にやってきた。
楽しい日々は色々なことを忘れさせるが、月の満ち欠けは忘れていた日を思い出させる。
間もなくナタリーがこのバンガロービレッジを離れていく新月の日だ。
ナタリーは支払いを済ませ、俺が代わり泊まっているバンガローの家賃も期限切れとなる。
シンさんと出会ったバンコクで、島には2週間ほどの滞在とシンさんも言っていた。
この先シンさんとナタリーは一緒に島を出て、そのまま一緒に旅を続けるのだろう。
俺はそのときどうする?
一緒に旅を続けるというのは自然な流れでもあるし、このまま島に残るというのもありだ。
<どうする?>という自問に、答えはすでに思いついていたが、俺はふたりに聞かずにはいられなかった。
「もう新月だけど、シンさんとナタリーは、この先どうするの?」
月もなく、星空の美しい夜だった。
続く
次回の話/自由に向かって、逆方向へ
前回の話/サハラはええで
「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!