席のなくなったシンさんは、向かい合っていた俺の横にきて、カウチの肘掛に腰を降ろし…

海の方からはゴロゴロと、山側からゴトゴトと音が鳴り響き、両者がバンガローに迫って…

先ほどまで無風だったのに、向かい風が急に強くなったように感じた。 その向かい風の…

あんなにか細い、単なる棒のようなパドルのひと漕ぎひと漕ぎで、カヌーは前へ前へと進…

バンガローの敷地には美しい白砂のビーチが横に広がり、前方はエメラルドグリーンの海…

バンガローの母屋には大きな本棚があり、シンさんはコークを片手にその前のテーブルを…

３畳間にも満たない高床式のバンガロー小屋。 曲がったヤシの木で組まれた柱、床材。…

辛い時、悲しい時、腹の立つ時、弱くなってる時にいつも彼らの詩が心を解放してくれる…

とても普通のピックアップ・トラックが走れるとは思えない未舗装の丘を、左右に揺れな…

土煙りを巻き上げながら、ピックアップ・トラックが港町へと戻ってきた。 広場には、…

グロッサリーストアから出ると、シンさんは郵便局の向かいのヤシの木に背中を預けてい…

人口がわずかなこの島で、きっと最も栄えているだろう港の集落。 郵便局のほか、客は…

俺の１歩先を歩くシンさんの元へもドライバーはやってきた。 「アフター・ポストオフ…

ゲートをくぐり抜けると＜ボン・ボヤージュ！＞と描かれた看板の裏には＜ハブ・ア・グ…

やがて船はまた進み出し、30分ほどで次の島へと到着した。 その港は、港と呼ぶには…

ビビってると思われたくない俺は、そのまま屋根に残った。 このオンボロ船の屋根の上…

船へと乗り込む桟橋は脆弱で頼りない作りだった。 これなら井之頭公園の手漕ぎボート…

シンさんは夜に弱いと、バスが走り出すとすぐに寝息を立てていた。   俺…

トゥクトゥクのドライバーは「時間がないから、店にいるのは１分間だけでいい」と俺た…

俺が「キング アーサーのここだけの話」を書きはじめるきっかけは、このストーリーの…

シンさんは「ニンジャ」と答えた。 「ニンジャ〜?!」 トゥクトゥクの天井が破れる…

バックパックの上蓋を取り戻した俺の気持ちは複雑だった。   戻ってきた…

俺のバックパックの上蓋が５円で売られているのはショックだった。 本当の持ち主が目…

この市場にあるものはすべて盗品だ。 旅行者のバックから抜き取った無料で配布されて…

売り場に並んだ年季の入った革のサイフをシンさんはつまみ上げた。 現金やカードは抜…

悪辣なことも笑いながらできる。 野上真一はそういう男だ。   「この埃…

２人を乗せたトゥクトゥクは、２人にまったく縁のない金商、パール商、宝石商を経由し…

俺は100バーツで売っているTシャツの正規価格が、心底知りたくなった。 「きっと…

無料で乗せろなんて無茶な交渉をしたから怒ったのだとばかり思っていたが、トゥクトゥ…

俺は「上蓋なしのイケテナイ姿で、バックパックを数日持ち歩くだけだ」と自分に言い聞…

ホテルの目の前にある7月22日ロータリーには外国人の人影はなく、日本ではあり得な…

あの頃はゲリラ豪雨なんて言葉はなかった。 突然降り出す土砂降りもバンコクでは日常…

シンさんの言う「ジュライホテルに泊まる目的はひとつ」とは、一体なんのことだろう。…

万が一にもニコールが一緒だったら、最高の旅になりそうだ。 「俺は、島で２泊できそ…

もはやニコールは、ここにいない。 そんな予感があった。でもアタリもせぬ予感のまま…

野上真一とはじめて言葉を交わした。 ここ数日間、俺が追いかけまわしている女、ニコ…

突然降り出した豪雨を避けるため、１歩でも軒の奥へ入りたいと思う気持ちによって、目…

ニューワールドにも足を運んだ。 カオサンは旅人が行き交う交差点、クロスロードと呼…

男は別の女と一緒にいる。 「ニコールのいない隙にウワキかよ」と思ったが、よくよく…

パリヨレくんにこれ以上問い詰めても意味がない。 彼もかなり迷惑している表情だ。 …